[REPORT] JEGT GRAND PRIX 2024【認定ドライバー選抜レース】

EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川
2025/3/22
コースコンディション:ドライ
コース:鈴鹿サーキット(予選スーパーラップ・ハイパースプリント)
富士スピードウェイ(決勝レース)

2025年3月22日(土)、AUTOBACS JEGT GRAND PRIX 2024シリーズ 認定ドライバー選抜レースがオンラインにて開催された。1月のシリーズ閉幕後の開催となるこのレースは、上位8チームが選抜した選手各1名と、ファン投票の上位4名、合計12名によって競われる個人戦で、「EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川」からはチーム選抜の鷲尾拓未選手(6号車)、ファン投票第2位の加藤陸選手(10号車)の2名が参戦した。

マシンはシリーズ中のグランツーリスモ Gr.3規格から変わり、スーパーフォーミュラ SF23が使用され、より高速域でのレースが展開された。
予選スーパーラップ、ハイパースプリント、レースの3部構成はシリーズと同様だが、ハイパースプリントは1対1の対戦形式。さらに、予選スーパーラップ・ハイパースプリントとレースでサーキットが切り替わるという点がシリーズとは異なる。
個人戦で、且つレースのレギュレーションはコースとマシン以外直前まで公表されないという、選手の適応力が問われるレースとなった。


●レポート

レギュレーション発表後、ごく僅かな練習時間を経て行われた予選スーパーラップ。
舞台は鈴鹿サーキットで、言わずと知れた実在のサーキットだが、タイヤの消耗がリアルの20倍というe-Motorsportsならではのレギュレーションが設定された。
2024シリーズ上位チームの選抜選手から順番にアタックが行われ、必然的に好タイムが続出。これがアタックを控える選手達にプレッシャーを与える。
6番目で登場した鷲尾選手のマシンはEVA初号機カラーのSF23。
コース幅を目一杯使ってS字を駆け抜け、セクター1の暫定ベストタイムを記録したものの、デグナーカーブで外に膨らんだことでタイヤを汚し、ヘアピン立ち上がりで僅かに姿勢を崩してしまう。その他に大きなミスは無く1周を走行し、この時点で3番手のタイムを記録した。

10番目で登場の加藤選手のマシンはEVA弐号機カラー。
アンダーステアでS字の終盤インを攻めきれず、また、鷲尾選手と同様にヘアピン立ち上がりで僅かなステアリング修正が入った。
この時点で5番手のタイムを記録し、残る選手の結果を待つ。

続く大原悠暉選手(11号車)、奥本博志選手(12号車)が割って入る形となり、最後に行われるレースは鷲尾選手が4番手から、加藤選手が7番手からスタートすることとなった。

続いて行われたのは予選の結果とは別に、事前の抽選で決定した選手同士が1対1で競い合うハイパースプリント。引き続き鈴鹿サーキットを舞台に、僅か2周という周回数で競われる。

6組のカードが組まれた1戦目、さっそく登場したのは加藤選手。対戦相手はシリーズ3連覇中の王者Sengoku Gaming 奥本博志選手で、直前の予選スーパーラップでも2位のタイムを記録した強豪選手だ。
2ndグリッドからスタートした加藤選手は終始奥本選手の後方に密着し、オーバーテイクのチャンスを窺った。スプーンカーブ立ち上がりでインコース側に並んだ加藤選手は130Rで奥本選手の前に出たものの、全開の超高速カーブでのオーバーテイクはタイヤの限界を超えていた。スピンこそ免れたものの、姿勢を崩した加藤選手は再び奥本選手の先行を許してしまう。
2周目も離されることなく奥本選手を追う加藤選手はここまでオーバーテイクシステムを使用しておらず、チャンスを待ち続ける。
西ストレートでオーバーテイクシステムを使用した加藤選手は、今度は130Rのアウトコース側から仕掛ける。
僅かに前に出たものの、シケインの競り合いで前を譲り、2位でチェッカーを受けた。

3戦目で登場した鷲尾選手は石水優夢選手(7号車)との対戦。2ndグリッドからのスタートであったが、石水選手はあえて前を譲る戦略を取る。ところが1周目の逆バンクで外に膨らんだ鷲尾選手は、石水選手のオーバーテイクを許してしまう。西ストレートから2周目の第2コーナーまで、お互いのスペースをコース上に残しながらクリーンな並走を見せたものの前に出ることはできず、迎えた2周目の130Rで再びアタック。アウトコース側からオーバーテイクを仕掛けシケインで完全に前に出るとそのまま先行し、チェッカーを受けて見せた。

そして迎えた最終のレース。
舞台は富士スピードウェイに替わり、10周で競われる。20倍のタイヤ消耗と少ない燃料初期搭載量から、ピットでのタイヤ交換と給油が必要となるレギュレーションが設定され、ピットインのタイミングと給油量が勝敗を分けると予想された。

ついに12台が並び、レースがスタート。
長いストレートから一斉にフルブレーキングする第1コーナーだが、大きな混乱は無く隊列が形成されて行く。

激しい先頭争いが展開される一方で、4番手スタートの鷲尾選手はそのまま4番手、7番手スタートの加藤選手は6番手と大きな順位の変動無く前半の5周を走破。ちょうど折り返しのこのタイミングでついにレースが大きく動く。加藤選手を含む3台がステイアウトを選択した一方で、残り9台が一斉にピットイン。給油量による静止時間の差から順位は大きく変動し、鷲尾選手はピットイン勢の2番手にポジションアップ。一方の加藤選手はステイアウト勢トップで翌周にピットイン。給油せず、最低限の静止時間とした結果、見事全体の先頭でコースに復帰することに成功した。

加藤選手は1周をリードしたものの、8周目の第1コーナーで佐々木拓眞選手(2号車)、奥本選手にオーバーテイクを許し、ポジションを落としてしまう。
やはり給油無しでは全力のペースを維持することができず、加藤選手はその後もポジションを下げ8番手に。

一方の鷲尾選手は勢いを失うことなく最後まで攻め続けるがファイナルラップ、ダンロップシケインからの立ち上がりで姿勢を崩し、奥本選手との2位争いも決着。
そのまま3位でチェッカーを受けた。

尚、杉守翔平選手(4号車)へのペナルティにより加藤選手は1つ順位を上げ7位でのフィニッシュ扱いとなった。

最終順位は、ハイパースプリントのポイントも堅実に獲得した鷲尾選手がレース順位をキープし3位。
予選スーパーラップ、ハイパースプリント、レースと常に速さと勢いを見せ、見事に入賞して見せてくれた。

加藤選手はハイパースプリントのポイントを落としたものの、レース順位からの変動は無く、7位という結果が確定した。
悔しいレースとなったが、予選結果やレース序盤の展開から他の選手と異なるピット戦略に打って出て、一時は先頭を走行するなど、レースを大いに盛り上げてくれた。
チームの選抜選手として出場した鷲尾選手、ファン投票で選出された加藤選手のいずれも、その役割をしっかりと果たしてくれたのではないだろうか。
2025シーズンも、若い2選手の活躍に注目していただきたい。


番外編となった今回のレース「EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川」への応援をありがとうございました。



●選手コメント

事前にコースと車種だけは公表されていたのですが、レギュレーションの詳細については当日発表と適応力が問われるレース内容で、豪華なメンバーに持ち前の適応力で挑みました。

予選は鈴鹿サーキットのセクター1で全体ベストを記録していたものの、ちょっとしたミスと、序盤にタイヤを使い過ぎたことも相まって、4位という結果で終えました。

ハイパースプリントではMAZDA SPIRIT RACING with TC CORSEの石水選手との一騎打ち。スタートで前に出たものの、S字立ち上がりでミスし2位に後退。その後も熾烈なバトルを繰り広げましたが、最終ラップのシケインを刺し切り逆転勝利。貴重な4ポイントを獲得しました。

決勝レースは予選4番手を獲得したため、セカンドロースタート。燃料、タイヤの消耗が共に厳しいレギュレーションでマネージメントしながらのレースとなりました。終始上位争いに絡み、最終ラップ時には3番手を走行。最終ラップにマネージメントしていた燃料を開放し、2位の奥本選手に仕掛けましたが、立ち上がりでミス。チャンスを活かせませんでした。豪華メンバーの中、結果3位でチェッカーフラッグを受けることができました。

今大会では持ち前の適応力を活かし、予選、ハイパースプリント、決勝共に良い流れを作り、終えることができたと思います。しかし、ミスをしなければもしかしたら・・・という場面もいくつかあったため、重要な局面でのミスを減らしていけるように精神力を鍛え、努力していきます。

応援してくださった皆様、そしてチーム代表として出場させてくれたチームメイトの皆様ありがとうございました!

鷲尾 拓未


まずはじめに、今回の選抜レースに参戦するにあたりまして、ファン投票で投票して頂きました皆様、本当にありがとうございました!

今回の選抜レースはSF23を使用したレースということで、私自身スーパーフォーミュラというマシンには得意意識があったので、自信を持って本番に臨みました。

予選前の練習走行ではかなり良いタイムも出せていましたが、予選スーパーラップでは大きなミスこそ無かったものの攻め切ることが出来ず、7番手となりました。

ハイパースプリントは後方からのスタートで、序盤から前にしっかり着いていき、1周目の130Rで仕掛けるもののオーバーテイクすることは出来ず、2周目の最終シケインでも並び掛けはしたもののここも抜くには至らずそのまま2番手フィニッシュでした。

ここまで厳しい戦いが続き、迎えた決勝レース。スタートで一気に7番手から5番手まで順位を上げ、前の状況をしっかり見つつ燃料もセーブした事で、無給油で走り切れると考え、唯一の燃料無給油作戦を実行しました。

この戦略によりトップでピットアウトすることが出来ましたが、ピットアウト後も燃料セーブの走りを強いられたことで築いたリードも1周で無くなり、後方のマシンにオーバーテイクを許してしまいました。

その後は前のスリップストリームを利用し燃料をセーブして最終ラップに賭ける戦略をとりましたが、最終ラップのコカ・コーラコーナーで前を走る川上選手と息が合わずに追突してしまい、結果的にこのミスが大きく響き、8番手でフィニッシュとなりました。

今回の選抜レースは、私はファン投票2位で参加することが出来ました。改めまして、投票頂きました皆様、本当にありがとうございました。

非常に悔しい結果となってしまいましたが、戦略面、バトルなどで、応援してくださるファンの皆様に少しでもワクワクして頂けるような、楽しんで頂けるようなレースをお見せする事が出来ておりましたら幸いです。

これにて2024シーズンが完全に終了となりました。

ここまで一年間応援して頂きましたファンの皆様、チーム関係者の皆様、スポンサーの皆様に感謝申し上げます。

加藤 陸



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