2024年11月23日(土)、AUTOBACS JEGT GRAND PRIX 2024シリーズ第2戦がオンラインで開催され、トップリーグに「EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川」が参戦した。
EVANGELION e-RACINGが新たにウエインズトヨタ神奈川とタッグを組んで挑む2年目のシリーズ。わずか2週間前に行われた開幕戦は、昨シーズンの開幕戦・第2戦と同じ盤石のメンバーで挑んだものの、4位と悔しい結果に。しかし、サーキットとマシンの相性が良くない中で、鈴木聖弥選手、山中智瑛選手、森本健太選手のドライバー3名全員が安定した速さを見せてくれた。
第2戦も開幕戦同様に、事前に行われる予選スーパーラップ、10チームが3グループに分かれて行われるハイパースプリント、そして10台が競うレースで構成される。「EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川」はこの第2戦に、昨シーズンから続く堅実な構成から大きく変更したメンバーでエントリー。
舞台となったのは前戦の鈴鹿と同じく実在する国内のサーキット、富士スピードウェイ。世界有数の約1.5kmに及ぶストレートで知られるが、今回はレース中に降雨となることが事前にレギュレーションで発表され、タイヤ戦略とウェットでのドライビングテクニックが問われる難しいレースとなることが予想された。
予選スーパーラップを任されたのは、昨シーズンより全てのラウンドでレース最終走者を任されて来た森本健太選手。
ポイントランキング下位から走行を行うため、7番目の出走となった。安定した走りでラップをまとめ、この時点でのトップタイムを記録。しかし、アウトラップでタイヤの温度を上げきれず、森本選手自身満足できるタイムでは無かった。続くポイントランキング上位勢が続けてベストラップを更新し、4番手の結果となった。
ハイパースプリントを引き継いだのは、今シーズン初出走の鷲尾拓未選手。予選4位の結果により、Cグループ2番グリッドからのレースとなった。スタートは、ポールポジションの黒畑蓉選手(12号車)が前戦でも見せたNSXの圧倒的な蹴り出しで先行。何としても3番グリッド深谷諄選手(105号車)の前はキープしたい鷲尾選手だったが、RX-VISION GT3の加速を抑え切れず、3位に後退してしまう。
2周のスプリントではポジションを取り返すチャンスが限られるが、鷲尾選手は1周目のダンロップコーナーでインコースに飛び込み、深谷選手から2位のポジションを取り返して見せた。その後も3位以降を引き離して黒畑選手を追い続けたが、1周半ではオーバーテイクには至らず、2位でチェッカーを受けた。
勝負の決勝レースを託されたのは、今期新たに加入したチーム最年少の加藤陸選手。スリックタイヤ3種類の使用義務があった開幕戦とは異なり、雨が確定しているこのレースでは、スリックタイヤ1種類とウェットタイヤ2種類を選手が自由に選択して競う。4番グリッドの加藤選手を含め、10台中9台はスリックタイヤを選択してレースがスタート。
ハイパースプリントのグリッドスタートとは異なり、ローリングスタートではマシン特性の差が出難い。大きな混乱無く全車が最初の周回を終えた。しかし2周目の第1コーナー、加藤選手はスタート直後から迫られていた杉守翔平選手(8号車)にオーバーテイクを許してしまう。
1つポジションを落として迎えた4周目の中盤、ついに雨が降り始め、次第に強くなる。加藤選手は画面上の雨雲レーダーで雨がさらに強まることを予想し、この周でピットイン。ほぼ全ての選手が同様にタイヤをスリックからインターミディエイトに交換してコースに戻る中、2台だけがスリックタイヤでコースに留まることを決断。
これで既に加藤選手より前を走行していた杉守選手に加え、堤口直斗選手(127号車)にも前を譲る形となった。既に雨は激しさを増しており、2台の判断は無謀に思われたが、5周目も中盤に差し掛かる頃には早くも雨が止む事態に。
濡れた路面でインターミディエイトタイヤのアドバンテージがある内に追い上げたい加藤選手は、スリックタイヤで慎重に走行する堤口選手、杉守選手を6周目に続けてオーバーテイク。このあと再びタイヤへの交換を控える加藤選手はこの2台にできるだけ差をつけておきたいが、路面が乾くのが予想以上に早く、7周目の最終コーナーで再び杉守選手にオーバーテイクを許してしまう。
ドライタイヤの優勢を確信した加藤選手は他車に先駆けてドライタイヤに戻すことを決断しピットイン。他車がそのままコースに留まったため見た目上は最下位でコースに戻るが、既に路面はほぼドライ。次周にピットインを控える他車の前に出るべく、加藤選手はペースを上げる。
インターミディエイトタイヤを履く残り全車が8周目でピットインしてコースに戻ると、タイヤ無交換の2台を除きスタート時の上位3台の順序はそのまま。加藤選手のポジションは山本英弥選手(12号車)の後方6位となり、全車がドライタイヤで残りの4周を競う形に。
上位2台には僅かにタイヤの消耗があるものの、築かれた差を脅かすほどにペースの差は無く、レースはそのままファイナルラップへ。順位の変動は無く、加藤選手は6番手でチェッカーを受けた。
雨のタイヤ戦略がはまらず下位に甘んじるという結果は昨シーズンの第2戦と同様だが、今期初出走ながらミスの無い走りを見せてくれた若手2選手の今後の活躍に期待したい。
◆監督コメント
今回はスーパーラップを森本選手が担当。富士スピードウェイではミッドシップ勢が優勢でポルシェとNSXが上位を占める中、なんとか上手くまとめてくれて4位を獲得。
次のスプリントでは鷲尾選手が2位でゴール。確実にバトンを繋げてくれました。
そして決勝、加藤選手で追い上げをはかりたいところでしたが、レインでのレースとなってしまい厳しい展開に。レインコンディションでのクルマの性能でいうと僕らのクルマは少し分が悪いので、その中でもしっかりゴールまでクルマを運んでくれました。
これでランキング5位になり最終戦。チャンピオンを取るには昨年同様勝つしかない状況ですが、オートサロンの沢山のお客様の前でしっかり勝てるよう皆で準備して臨みたいと思います。
応援頂いた皆様ありがとうございました。
冨林 勇佑
◆選手コメント
今回、ハイパースプリントとレースの両方を左右するスーパーラップ担当という重要な役割を任されました。
最低でも3位につけたかったのですが、結果的には4位スタートになってしまいました。
走りにミスはありませんでしたが、タイヤ温度が重要になるこのコースでベストな温度に持って行けず、僅差で3位のポジションを取られてしまい、個人的に悔しい予選となってしまいました。
レースを担当した2人には辛いレースをさせてしまいましたが、本当に良い走りをしてくれました。
辛いレースが続いていますが、最後は優勝してチーム皆で笑って終われるようベストを尽くします。
引き続き応援よろしくお願いします!
森本 健太
2周と非常に短いレースのため、スタートが重要になります。
スタートは前方のNSX、後方のRX-VISION GT3の方が有利と見られており、反応は良かったもののやはり1コーナーまでにRX-VISION GT3にかわされて3番手に後退してしまいました。しかし、1周目のダンロップのブレーキングで相手の隙を突いて2位を奪還し、その後は1位に0.3秒差まで迫りましたが惜しくも届きませんでした。
ハイパースプリントもポイント配分が高いだけに、あと少しで1位が狙えていたので非常に悔しいです。
最終戦もチームで力を合わせてシリーズタイトルを目指して頑張ります!
引き続き応援よろしくお願いいたします!
鷲尾 拓未
練習段階から悪くない感触ではあったものの、非常に苦しい展開となった今回のラウンドでした。
序盤は無理をせずペースが速い相手を先に行かせ、ウェット路面でバトルをしている隙をついて順位を上げたいと考えていましたが、想像以上に雨があがるのが早く、ウェットタイヤに交換した周りのチームより一周早くドライタイヤに交換するという戦略の変更も結果としてさほど機能せず、ライバルに対して為す術がありませんでした。
チャンピオン争いに向けて、最低でも表彰台を目指していた今回のラウンドでしたが、このような不甲斐ない結果となってしまい、チームメンバーや応援してくださるファンの皆様に大変申し訳なく思います。
ですが、まだシーズンが終わった訳では無いので、最終戦、1つでも順位を上げて帰って来られるように、チーム全員でまた頑張りたいと思います。
引き続き応援よろしくお願いいたします。
加藤 陸
残すは2025年1月12日(日)東京オートサロンのステージにてオフラインで行われる最終戦。舞台はベルギーのスパ・フランコルシャン。
昨シーズン劇的な勝利を掴んだあのステージに再び選手達が集う。
引き続き「EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川」の応援をよろしくお願いします。
EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈川
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