2022 FIM ENDURANCE WORLD CHAMPIONSHIP
“コカ・コーラ”鈴鹿8 時間耐久ロードレース 第43 回大会
2022/8/5-7
鈴鹿サーキット(1周 5.807km)
#2 EVA RT 01 Webike TRICKSTAR Kawasaki
予選:10位
決勝: 41位(未完走扱い)
MotoE World Cup や WSSなどで活躍し昨年からチームのエースとしてチームを引っ張っている大久保光選手に加え、
鈴鹿サーキットで育ち、鈴鹿を知り尽くしている若手の佐野優人選手さらに2015年から2017年の間我々のチームのエースとして戦い、2019年にはEWCのタイトルを獲得したエルワンニゴン選手。この3名の強力な布陣で挑みました。
6月、7月に行われた事前テストから大久保選手、佐野選手は好タイムを記録、レースウィークから参加したエルワン選手もレースウィークの火曜日、水曜日に行われたテスト走行で初めてチームのバイクに乗ると、すぐに2名の選手と遜色ないタイムを記録。予選決勝に向けて期待の持てる走りだしとなった。
【5日/予選】
予選日当日の天候は不安定な状況でいつ雨が降ってもおかしくない中で予選は行われた。予選では3名のライダーで7本のタイヤ制限があり、各ライダー2回の予選セッションがあるため、いつ新品タイヤを投入するかの判断がとても難しく、今回は天候が不安定であるということで、出せるときにタイムを出すという作戦で予選1回目から3名のライダーに新品タイヤをフル投入するという作戦で予選を戦った。最初の予選はライダーブルー大久保選手、混戦の中コースインをして1周目はコースが混雑していたため2分10秒台で戻ってくる。2周目から本格的にアタックに入りチームベストタイムを1秒以上更新する2分07秒602を記録。さらにもう1周アタックに入るが引っかかってしまいタイム更新ならず。そのまま1回目の予選を終了。チームのエースとして最高の働きを見せ、チームの士気を大きく高めてくれました。次はライダーイエロー佐野選手。計測1周目から自己ベストを更新する2分8秒769を記録、2周目にはさらに0.3秒タイムを削る。3周目に大きくタイムを上げ、大久保選手のタイムに迫る、2分07秒675を記録し予選アタックを終える。3人目のエルワン選手も若い2人のライダーの走りに触発され、やる気満々でコースインするものの雨が降り出してしまい、タイムアタックできないまま1回目の予選を終えてしまう。1回目の予選は総合9位で終える。
しかし強豪チームである#1号車、#73号車が転倒や降雨の影響でタイム計測が出来ていない状況であったため、TOP 10TRIAL進出に向けて全く油断できない状況であった。1回目の予選から約2時間後に行われた2回目の予選では1回目の予選の降雨の影響はなく完全なドライコンディションでスタートした。大久保選手、佐野選手は1回目の予選で新品タイヤを使い切ってしまっていたためタイムアップ出来ずに終了。残るは1回目の予選で降雨の影響で新品タイヤを残していたエルワン選手のタイムアタック、チームとしても2015年以来のTOP 10 TRIAL進出に大きな期待がかかる中、最後の予選はスタートした。だがしかしタイムアタック1周目に1回目の予選同様に雨が強く降り出してしまいアタックできないまま予選を終える。1回目の予選でしっかりとすべてを出し切ることができ好タイムを記録した大久保選手と佐野選手の
タイムの合算により見事TOP10TRIAL進出を決めた。
【6日/TOP10TRIAL 10位】
チームとしては2015年以来7年ぶりのTOP10TRIAL進出、走行するのは予選で2分7秒6を記録した大久保選手と佐野選手。2人とも初のTOP10TRIALで前日からとても楽しみにしていたのですが、不安定な天候の影響により、急遽40分間の計時予選となりました。
まずは佐野選手からスタートをする、雨上がりの路面でウェットパッチがところどころ残っていたり、路面自体のグリップも良くなく、前日よりもコースコンディションが悪いため思うようにタイムが伸びない。それでもなんとかアジャストし2分08秒136を記録。大久保選手にバトンをつなぐ、大久保選手も佐野選手同様にタイムが伸びず、2分08秒033でアタックを終える。残り時間は約15分。昨日1回もタイムアタックをすることなく予選を終えてしまった
エルワン選手が決勝を想定したセットアップの確認を兼ねて走行、完全な予選仕様ではない状態で2分09秒027を記録し走行を終えるTOP10TRIALの結果10位で翌日の決勝を迎えることとなった。
【7日/決勝レース 41位(未完走扱い)】
決勝日は予選、TOP10TRIALとはうってかわって日差しが差し込むとても良い天候となった。スタートライダーはエースの大久保選手。彼自身、初のスタートライダーということでとても緊張した様子であった。
10番グリットからスタートした大久保選手はエンジンが1回でかからずほぼ最後尾付近まで順位を落としてしまう。
そこから怒涛の追い上げを開始し1周目は15台近くオーバーテイクし25位で戻ってくる。2周目には22位まで順位を上げるが、スプーンカーブでの多重クラッシュによりセーフティーカーが入る。スタートで大きく出遅れてしまったためこの介入は差を縮めるチャンスとなった。5周のセーフティーカーランの後、レースは再開されすぐさま2台をパスして20位に順位を上げる。その後は上位陣と変わらぬハイペースで追い上げていき12位で第1スティント
を終え、佐野選手に交代する。交代した佐野選手も10秒台のハイペースで周回を重ねていき37周目に11位、48周目に10位と順位を上げ予選順位までポジションを回復する。
他車のピットインのタイミングもあり8位でエルワン選手に交代となる。エルワン選手は10位でコースインし順調なペースで周回を重ねる。この時間が最も気温が高い過酷な時間帯であるがエルワン選手はそれをものともせず周回を重ねていく、60周目にセーフティーカーが入り、介入のタイミングもよく、7位を走る選手までの距離が大きく縮まることとなる。7位から10位までがセーフティーカー解除後は付かず離れずそのままの間隔で走行を続け他車のピットインのタイミングもあり8位でエルワン選手から大久保選手へ交代となる。
大久保選手に交代後、10位でコースに戻る。1スティント目より高い気温と路面温度に苦戦しながらも確実に前との差を縮めていく94周目には8位の選手と9位の選手のすぐそこまで迫る。だがしかし96周目にマシンに異変を感じて緊急ピットイン。大久保選手からマシンの症状を聞き、すぐさまチームスタッフはマシンのチェックを行い、不具合箇所を修正してライダーを佐野選手に交代してコースに戻るがこのピットインで9分のタイムロスをしてしまい20位でコースに復帰することとなる。コース復帰後佐野選手は10秒前半というハイペースで周回を重ねていく、それを確認してマシンが直ったと安心したのも束の間、109周目に再び緊急ピットイン、症状は先ほどの大久保選手のものと同じ、マシンのトラブルはまだ解消されていなかったようだ。
再びマシンを修復して佐野選手がそのままコースに戻る。この時点で28位までポジションを落としてしまう。コースに戻った佐野選手は2分9秒台に入れるハイペースで再び周回を始めるがコース復帰から8周後の117周目に再び同じトラブルが発生し、緊急ピットイン。
応急処置ではなくしっかりと対策を行うために36分のピット作業の後にエルワン選手に交代し38位でコースに戻る。
コースに戻ったエルワン選手は佐野選手同様に2分9秒台に入れるハイペースで周回を開始するが125周目に再び緊急ピットイン。エルワン選手のコメントを聞くと今までとは別の症状が起きてしまっているようで細かくマシンのチェックを行うために長時間のピット作業を行うことを決断する。1時間13分のピット作業を行い大久保選手に交代してコースイン。レースの残り時間は約1時間。スタッフはトラブルがでないことを祈りながら大久保選手をコースに送り出す。しかし132周目に再びトラブルが再発してしまいピットイン。マシンを修復しラスト5分で再びコースに戻り、チェッカーフラッグを受ける。結果は41位(141周・未完走)で2022年の鈴鹿8耐を終える。
大久保選手コメント
今回のレースウィークはウィーク通してとても良い流れでいけたと思います。私が諸事情により水曜日の午後からの参加となってしまいましたが、チームメイトの佐野選手とエルワン選手がマシンをいい状態に仕上げてくれて比較的いい走り出しをすることができました。金曜日の予選ではチームベストタイムを更新する2分7秒602というタイムを記録することが
出来たし、佐野選手の頑張りもあり目標としていたトップ10トライアルに残ることが出来たのでとても順調なウィークだったのではないかと思います。
決勝レースではスタートライダーとして初のルマンスタートをしたのですがエンジンの始動が上手くいかず大きく順位を落としてしまいましたがその後は2分9秒から10秒のハイペースで周回を重ねて追い上げていきポテンシャルの高い状態でレースが出来ました。
ただトラブルが出てしまいなんとかチェッカーを受けることはできましたが未完走扱いと残念な結果になってしまいとても悔しい思いをしました。結果は残念でしたが次に繋がる走りや反省点や課題などをしっかりとれたと思うので次に向けてお互いに頑張っていけたらと思います。
最後になりましたがスポンサーの皆様やファンの皆様、たくさんの応援をしていただきありがとうございます。私の方はMoto E World Cupの方にも参戦していきますのでそちらの方も引き続き応援よろしくお願いいたします。
佐野選手コメント
今回のレースウィークはライダー、マシン共にとても好調でした。火曜日、水曜日のテスト走行からいい流れで走ることができ、金曜日の予選では自分の目標としていた2分7秒台に入れることができ、更にライダーとしての夢であったTOP10TRIALへの進出を決めることができ最高の形でセッションを進めることができました。
TOP 10 TRIALは急遽、計時予選になってしまいとても残念でしたが、計時予選でも予選同様に確かな手ごたえを感じることができました。
日曜日の決勝レースでは、1スティント目はウィークで1番気温、路面温度が上がってしまい自分が想定していたペースで走ることが出来ませんでしたがじっくりと耐えて転倒やトラブルなく自分の仕事ができたかなと思っています。
次のスティントに向けて準備をしている中で大久保選手がマシントラブルのため緊急ピットインがあり修復して自分が走り出しても10周足らずでトラブルが再発。そのまま最後まで直ることなく終わってしまいとても悔しかったです。
トラブルが起きるまでは3人ともとてもいいペースで走ることができ目標にしていたトップ6が見えていただけに不完全燃焼という感じで8時間が終わってしまいました。
今回の8耐はTOP10 TRIALに残ることができ土曜日まではすごく順調にいき素晴らしい流れで来れていただけにレースでそれが崩れてしまいとても残念でしたのでまた来年リベンジしたいと思いました。
最後に応援していただいたスポンサーやファンの皆様ありがとうございました。
エルワン選手コメント
今回の参戦が決まったのはレースの3週間前でした。しかし不安や心配事は全くなく私にとって家族のような特別なチームであるトリックスターに戻ることができるという喜びと期待感を持って鈴鹿サーキットに来ました。
チームに合流したテスト走行では、初めての新型車両、初めてのタイヤ、チームメイトとのポジションの違いなどに慣れるのに最初は苦労しましたが周回を重ねるごとにポテンシャルの高さを感じてペースアップすることが出来ました。
予選では運悪く、ドライコンディションで走ることが出来ませんでしたが、若手の大久保選手と佐野選手が素晴らしいタイムを記録してくれたことでTOP 10 TRIALに残ることが出来ました。こうして若い選手の成長を見る事が出来たのも私自身とても勇気づけられ、高いモチベーションに繋がりました。
決勝レースでは途中までいい形で走行できていましたがマシントラブルにより未完走扱いになりとても残念でした。ですが3名のライダーが2分9秒、10秒を安定して決勝レースで記録できた事に関しては大きな進歩を感じましたし、また来年もこのチームで同じメンバーでリベンジしたいと思いました。たくさんの応援を頂きありがとうございました。
鶴田監督コメント
まずはこうして鈴鹿8耐時間耐久ロードレースが3年ぶりに開催され、レースに参加出来た事にとても嬉しく思っております。
レースの方は、予選までの流れはとても好調であり、決勝にも大いに期待が持てただけに悔しい結果となってしまいました。
しかし、ライダーやクルーは最後まで諦めずに頑張ってくれました。この頑張りを今後の糧としてまたチャレンジして参りたいと思います。
今回の私達のレース活動に多大なるご支援とご協力を頂いた皆様、ファンの皆様に感謝しております。
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